広い船内、女の姿を探す。
甲板に出ると簡単に女が見えて、すぐそばにはサッチとエース。

笑顔で話す2人と無表情ながら一生懸命聞いている女。


アイツ等、隊長のクセに警戒が足りねぇよい…


──こう思ったが2人の実力は認めているし
いらいらする原因が早々と打ち解けるヤツらへの嫉妬だとは、この時のおれは判っていなかった──


無意識の内に影に隠れて様子を見ていれば、一瞬の沈黙の後彼女は口を開いた。

そして、出てきたのは謝罪の言葉だった。



「でも、やらなきゃやられる稼業でしょ?好き好んでじゃないだろうし…」

「髑髏のマークって信念の証って本で読んだことあるから…その信念の下にしてきたことを軽々と口にして…」



じんわりと胸が熱くなる。

コイツの世界には海賊は居ないと言った。
だが賊は賊だ。一般のヤツらにゃ悪者だろう。
それなのにおれらの誇りを理解してくれるような言葉は、久しく聞かない温かいものだった。



「おかしな女だよい…」



少し緩んだ口元を引き締め、彼女たちの元へ足を進めた。



「おっ、マルコー!」
「ここに居たのかい…親父が呼んでるよい」
「わかりました」
「じゃあ行こーぜ名前!」



(きっとおれらは、彼女が欲しくなる)


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