船に侵入者がいた。
その男はあろうことか「異界から来た」と宣う。

初めは信じなかったが、男の話はとても奇妙なものだった。


その男は「日本(やまと)」から来たという。
聞けば文化や風習は限りなくワノ国に近いようだ。

また、男は海軍の使用する言葉を扱った。
曰わく、「日本語(やまとことば)」というらしい。


悪魔の実の存在はなく──…










「これ、不思議なんだよなァ」
「何がだ?」
「男の出身」



イゾウは後れ毛をしなやかな手付きで後ろへ流した。



「ワノ国でも昔この文字と同じようなの遣ってたから分かるが…この"やまと"って"にほん"って読めるんだ」
「へぇ…にほん、ね…」










あの時の何気ない会話が、今の俺たちに重要になってくると
誰が予想しただろうか。


「…親父…」
「あァ…名前に確認してみるか」



イゾウは勿論、親父も他の奴らも笑みを浮かべていて
楽しくてたまらないといった感じだ。

かく言う俺も、この状況に多少の興奮がある。

結局、海賊ってのはいつまで経っても海賊か。



(過去のどんな宝より)
(今はこの本が重要)


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