この世に生きてりゃどんな世間知らずだって当たり前の知識。
それを知らない…つまりは「この世に」生きてこなかったという一つの可能性。

そう判断するにはまだ早いが、あくまで「可能性」だ。


ピリピリとした空気の中、オヤジが俺に目を向けた。



「マルコ」
「…あぁ」



名前に近付き目隠しに手をかける。



「目隠し、取るよい」
「…あぁ、やっと執行するんだ」
「…?」



執行って、何をだよい。
どこか嬉しそうに呟かれた言葉に疑問は持ったがまぁいい、と目隠しを取ってやった。


ゆったりと眩しそうに目を開いた彼女はオヤジを見て驚嘆の表情を浮かべた。
そして周りを見回し、更に混乱したようだった。



「看守さんは…?」
「名前」



看守、という単語に引っかかりを覚えたが
オヤジが名を呼んだため名前は口を噤み、再び緊張が走った。



「ここは、白ひげ海賊団モビー・ディック号の上だ」




(オヤジと隊長格を目の前に凛とした真っ直ぐな眼差しは)
(俺の心をほんの少し動かした。)


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