*マルコ夢*
夕日が沈む頃、モビーディック号の上では宴が開かれていた。
クルーたちの中心でエースやサッチが騒いでいて、白ひげは楽しそうな息子たちを見ながらグラグラと上機嫌に笑う。
いつもなら混じって騒ぐ***だが、今日はとてもそんな気になれず、甲板の隅で一人海を眺めていた。
「一人で何してんだよい?」
独特な口調。
振り返るとやはりそこに居たのは彼だった。
「マルコ隊長…」
気にかけてくれたのだろう、持っていた2つのグラスの片方を渡される。
中身は甘い、***が好む弱い酒。
礼を言うとマルコは柔らかく笑い、くしゃりと頭を撫でた。
「で、何で落ち込んでんだよい」
「…昼間は、すみませんでした…」
昼間?とマルコはわかっていなかったが、戦闘の時…と言えば納得したようで、再び頭を撫でた。
「大丈夫だよい」
昼、無鉄砲な名もない海賊が戦闘を仕掛けてきた。
一番隊である***は当然参戦、得意の銃で敵を倒していた。
しかし数が多く、後ろから剣を下ろしてくる男に気付かず「***!」という声に振り返れば自分を庇い斬りつけられるマルコが目に入った。
「気にすんなって言ったろい」
マルコはそう言うが、気にしないわけにはいかない。
自分は末っ子だからと可愛がられる。
が、甘やかされていいとはならない。
誇り高き白ひげ海賊団に入る時、白ひげや隊長たちの前で宣言したのだ。
マルコ隊長が背中を預けられるくらい強くなると。
あの時のマルコの驚いた顔と白ひげの楽しそうな顔は忘れられない。
ずっとずっと憧れていたマルコに追いつこうと必死だった。
憧れにいつしか慕情も加わってきたのだけれど。
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