*ロー夢*
コンコン
控えめなノックの音に、俺は視線は落としたまま一言「入れ」と許可する。
「キャプテン、コーヒー入りましたよ」
鈴を転がしたような可愛らしい声とコーヒーのいい香り。
「ああ…置いておけ」
こんな時、顔を上げて微笑んで、優しくしてやれればと思う。
…俺は、***に惚れているのだから。
「また分厚い本ですね…」
話し掛けられやっと顔を上げればクリクリと目を丸くしているのが可愛くて
柄にもなく胸の高鳴りを感じた。
「新しい医学書だ」
「へぇ〜…あ、私もここで本読んでもいいですか?」
ほらこれ、と脇に抱えて持ってきたらしい本を掲げ微笑む。
ああ、***は俺の心臓をどうしたいんだ!
「…ダメだ」
「えー」
むくれる姿さえ可愛いと思うのに、やはり天の邪鬼は簡単には直ってくれないらしい。
「コーヒー。お前の分がないだろ」
「!」
「もう一杯入れて来れるなら、ここで読んでもいい」
天の邪鬼な俺の、精一杯の素直。
さっきまでパンパンに膨れていた頬は萎み
満面の笑みで「はい!」とコーヒーを入れに向かう。
そんな姿に、たまには本心を出すのも有りかと頬が緩んだ。
「あ、キャプテン!」
「何だ」
「大好きです!キャプテンは?」
「…どうだろうな」
まだ素直になれない俺を解り、微笑んでくれる***。
いつか、俺の好きだという言葉でお前を笑顔にしてやる。
(大丈夫)
(伝わってますからね!)
end.
相互御礼です(^^)
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