![]() ガレーラの1番ドック。 金槌の音や男達の声を縫って、美しい声が聞こえる。 「タイルストンさん」 大きな包みを持った***は柔らかく笑っていた。 「お昼、作ってきたよ!」 「おう!ちょっと待ってろ!」 タイルストンの声に***は頷き、端に置かれた木材に腰掛けた。 「よォ、今日はマトモな格好じゃねぇか」 「パウリーさん!」 今日の格好はTシャツにマキシ丈のスカート。 露出はかなり少ない。 パウリーにハレンチだと怒られなかったのは何年ぶりだろうか。 「タイルストンさんがね、露出多い服で彷徨かれたら身が持たないって」 笑顔の***にパウリーは安心しつつ、タイルストンの注意に感謝した。 「でも似合うから、家にいる時は着てくれだって!」 「…早速ノロケかよ」 心の中で「ハレンチ!」と叫んだ。 「ありがとう」 「なんだ、急に」 「ん?色々」 時々思う。 彼女は自分の好意に気付いてるんじゃないかと。 しかしその考えは直ぐ否定した。 ***は自分のことには恐ろしく鈍い。 美しく、無邪気で素直。 だからこそ好きなのだ。 「***!」 掛けられた大声に、彼女は幸せそうに笑う。 「じゃあまたね!」 「あぁ、」 同僚の元へと走って行く***を見つめ、白煙を青空へと吐き出した。 (…あぁ、綺麗だ…) next.. |index| 1/1 |