家に入って思いっきり泣いた。
一頻り泣いたら心配してくれてるパウリーさんに連絡。
何だかんだ優しいパウリーさんは家に来てくれると言ってくれたが、さすがに申し訳なくて断った。

その後また涙が溢れてきて、気付けば寝ていたらしく部屋に日が差し込んでいた。



「やば、タイルストンさんにお弁当…っ!」



慌ててベッドから降りたが、はたと昨日のことを思い出す。



「…もう要らない、か」



だからと言って再び寝る気にもならず伸びを一つ、カーテンを開けた。
私の心を汲まない、雲一つない晴天。



「…空も私の為に泣いてはくれないか…」



自分でもバカのこと言ったと自嘲し、身支度にかかった。



気晴らしに買い物に出るとコールに会った。
彼は何故か私に優しくしてくれて、よく喋り掛けてくる。
今までは異常に構う彼に困ることもあったけれど、今日はその明るい彼が私にはありがたかった。



「***、美味しい紅茶を出す店を見つけたんだ!一緒にどうかな?」



いつもなら断ってたけど、年の近い彼とお喋りするのもいいかも知れない。
(ずっとタイルストンさんばっかりだったから…)



「そうだね、行こう」



笑顔で頷けば彼は「ほんとに?!」と驚き喜んでくれた。

コールはとても話上手で、全然飽きない。

…でもやっぱり求めるのは違う人で、楽しいはずなのに胸が苦しくなる。

私がタイルストンさんを忘れられる日なんて、来るの…?



「、…***、***?」
「…え?」



心配そうに私を覗き込むコール。



「大丈夫?なんだか調子悪そうだけど」



あぁ、私ったら失礼なことを。



「ごめんねコール。大丈…」
「***!」



大好きな大声。
反射的に振り返るとタイルストンさんが恐い顔して立っていた。



「…来い」
「ちょ…***?!」



コールを置いてタイルストンさんは私の腕を掴んで歩き出す。
触れた場所が熱い。



「タイルストンさん!放して!」
「いいから来い」



有無を言わせぬ低い声に私はどうしようもなく、その後ろ姿を見つめながら腕を引かれた。


(受け入れてもらえなくても)
(やっぱりこの熱を求めてしまうの)


next..


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