1食目



料理が好きだ。
美味しいご飯は幸せな気分になれる。

それに、私を作ったご飯を美味しそうにいっぱい食べてくれる人が居たら最高だと思うんだけど…


女子校で、周りの友人もお年頃故にあまり食べない。
父はびっくりする程の少食。母もそんなに。

たまに外食した際に食欲旺盛な男子高校生を見て思う。
周りにあんな食べてくれる人が居たらなぁ…、と。




部活が終わって友人と別れ、とぼとぼと歩いていると
前を賑やかな団体が歩いていた。

あの制服…伊達工か…
みんな背でか…



「あー、腹減ったー!」

「鎌ち、よく食うよな」

「ほんと、母ちゃんの弁当じゃ足んねえ…」



何だって?!
ガバッと顔を上げると金髪の人がお腹を擦っていた。

あぁ…私のお弁当食べてくれないかな…



「なー、コンビニ寄ろうぜ…」



ぞろぞろとコンビニに入っていく集団。
私もこっそり入った。

お菓子を見ながら盗み見していると、例の空腹金髪さんはレジ横のホットスナックを購入していた。
外に出ると、さっさと開封して齧り付いている。


ガツガツと美味しそうに食べる姿。
周りには居ないその姿に目が離せなくなった。

彼に、お腹いっぱい食べてほしい…!


まぁそんなこと叶うはずもなく、彼を含む伊達工の集団は去っていった。



「…早く帰ろ」



散々調理部で作ったのに、彼の食べる姿を思い出すと無性に料理したくなった。

そして何故かその衝動は収まることなく、暫く作りすぎる日々を送ることになろうとは
この時はまだ予想していなかった。



(…ごめんみんな…これ食べるの手伝って…)
(((重箱のお弁当?!)))







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