目の前でポロポロと涙を零す名前。
一見、強く見える彼女が実は繊細で脆いのだと気付いたのは何時だっただろう。



「伊、作…っ」
「うん、我慢しなくていいんだよ」



そっと引き寄せて、胸に抱く。
じんわり、胸元が濡れていく。

優しく包んだ名前は細くて柔らかくて、直ぐに崩れてしまいそうだと思った。



「伊作、いつも、ごめんね」



彼女はくノたまで、忍たまである僕にはそのスランプを解決してあげることは出来ない。

それでも、君が泣きたいと、吐き出したいと思った時には僕の処に来ればいい。
ほんの少しの手伝いを、僕がしてあげる。

無防備な彼女の額に軽く口づけ、微笑んだ。



「僕は、名前の味方だよ」


(もー、伊作大好き…)
(ふふ、僕も大好きだよ)

END

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