15 朝目が覚めて、起き上がると長ちゃんも目を覚ました。 (もしかしたら既に起きていたのかもしれないけど) 軽く身支度をして、朝ご飯の支度を始める。 フレンチトーストにベーコンエッグ、サラダにスープ。 洋風で長ちゃんには馴染みないだろうけど、折角こっちに来たのなら食べてもらおう。 長ちゃんも色々覚えたいからと手伝ってくれたおかげでスムーズに朝ご飯が出来た。 そして驚く程に長ちゃんの手際が良く、彼女の女子力の高さを知った。 ニュースをつけながら早速ご飯。 ドキドキしながらフレンチトーストをかじる長ちゃんを伺うと、ほんのり口元を緩めて美味しいと言ってくれた。 どうやらフレンチトーストはお気に召したみたい! 嬉しくて可愛いアナウンサーの天気予報を見つつ長ちゃんに話し掛けていたら、急に長ちゃんは深刻な顔で話し始めた。 「名前…私の為に、自分の時間を犠牲にすることはないからな…」 「え?」 「その…年齢的にも、旦那さん、とか、」 「……えぇ?」 申し訳なさそうに言う長ちゃんに、変な声を上げてしまった。 だって、旦那って…! でも室町とか時代を考えて納得した。 昔は早かったらしいしね。 「長ちゃん、私、独り身だから!旦那も、恋人も居ないよ!」 「そう…なのか?」 「そ!平成ではこの年で結婚は早いんだよ」 「そう…か…」 少しホッとした表情を見せた長ちゃんに、此方も安心する。 ずっと気にしてたのかな。 「あ…でも、自分の時間は必要だろう…私のことは気にせず…」 自分の時間、ねぇ… 「うん、気にしてくれてありがと!でもね、私、長ちゃんと居るの嬉しいの!」 食べ掛けてたフレンチトーストを口に放り込み、飲み込んでから長ちゃんと向き合った。 「別に長ちゃんが居るから自分の時間がなくなったなんて思ってないし…何かしたいことあったら長ちゃんが本読んでる時にでもやるから平気だよ?」 それは紛れもない本心だ。 けれど、長ちゃんは依然として腑に落ちないみたい。 「…でも…」 「うーん…単純に、私が長ちゃんに構いたいだけなんだよね…」 「…無理は、」 「してないっ!私は、長ちゃんに嘘つかないよ!!」 真っ直ぐに見つめれば解ってくれたようで、柔らかく笑ってくれた。 「…解った。すまないな、変なことを言って」 「いいえー!長ちゃんが私のこと考えてくれて嬉しいよ!ありがと!」 再開した朝食。 ほんの少し嬉しそうな長ちゃんと、上機嫌な私。 さて長ちゃん、今日は何しようかね! (あ、昨日買った本、読む?) (!…読む) ((嬉しそうだな)じゃあ私はレポートでもするかな!) next… |