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隣で眠る名前に目を向ける。
演技でもなく、本当に熟睡しきっている彼女は無防備だ。

私は、小さく溜息を付いた。



名前はこんな如何にも怪しい私を保護してくれた。
傷の手当をして、着物(洋服、と言ったか)などを買い与えてくれ、食事や寝床まで準備してくれて…

そういえばはんばーぐ、という食べ物は非常に美味かった。
桃だって、あんなに甘い物は初めて食べた。
きり丸達にも食わせてやりたいな…

とにかく、名前は此方が心配になるほどお人好しだと思う。
初めは警戒していたのに、あの柔らかい声と温かい笑顔に絆されてしまう。
…いや、何よりも無償で与えられる優しさに、私は何やらむず痒い気持ちになってしまうのだ。


年上とは思えないほど無邪気なのに、その包容力はやはり「大人」であるのだ。


そこまで考え、ふと気付く。

愛らしく、ここまで器量良しの彼女なら、恋仲の男がいるのではないか。


20歳、それなら十分居てもおかしくはない。

それなら私は邪魔なのではないか。
いくら今の私が女の形をしているからといって、中身は男だ。
それに、かなりの時間を私に費やしている。


…それは、あまりにも申し訳ないだろう。


明日、名前には私に構わず自分を優先するように言ってみよう。

そう決め、私は瞼を下ろした。


(知らない男に寄り添う名前を想像し)
(少しモヤモヤとしたのは何故だろう)


next…









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