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お風呂から上がった長ちゃんは何故かぐったりしていた。
何かをもそもそ言ってたけど聞き取れないし、慣れない造りで戸惑ったのだろうということで勝手に納得。



「長ちゃん、髪乾かすのコレ使って!」



取り出したのはドライヤー。
コンセントを差して渡すも、彼女は首を傾げる。



「髪なら…ちゃんと拭いた…」
「拭いただけじゃダーメ!」



風を出してあげるとビクッと肩を震わせ、珍しそうに見る。
長ちゃんの髪はさらさらと風になびいて、綺麗だ。



「よし長ちゃん!座って!私がやる!」



戸惑う長ちゃんを無理矢理座らせ、風を当てながら髪を梳く。
指の間からすり抜ける髪は色素が薄く柔らかで、本当に綺麗。



「熱くない?」



問えば口を動かすが、ドライヤーの音で何と言ったかは分からない。
でも覗いた顔は目を閉じて穏やかだったから、気持ちいいのかな、とそのまま続行。

暫くして乾いたことを確認し、ドライヤーを切った。



「はい!出来上がり!」
「…ありがとう…」



どことなく機嫌が良さそうな長ちゃん。
可愛くて抱き着きたいけど…長ちゃんはスキンシップに慣れてないんだから!と我慢した。

ご飯も出来たことだし、用意するね、と言えば手伝ってくれた。
なんか、こーゆーのって楽しいなぁ…



「いただきます!」
「…いただきます…」



口に合うかな、とドキドキしながら長ちゃんが食べるのを見る。



「…美味い…」
「ほんとっ?」



安心したところで私もハンバーグを口に運ぶ。
うん、我ながら美味しい!



「…これは、何て料理だ?」
「ハンバーグだよ!…そっか、室町にはないのかー…」
「はんばーぐ…」



どんどん箸を進める姿を見て、気に入ってくれたんだなーと嬉しくなった。
やっぱりハンバーグはまず外れないね!



「…小平太が好きそうだ…」
「こへーた?」



こへーた。
多分男の子の名前。



「こへーた、くん、は…長ちゃんの彼氏?」
「…!それは、ない…」



少し青褪めたような顔。
照れ隠しなんかじゃなくて、本当に違うみたい。



「なんだぁ…あ、でも仲いいの?」



そう聞けば、長ちゃんはほんのり口元を緩めてぽつぽつと色んなことを話してくれた。

小平太くんは一年の頃から共に切磋琢磨しあってきた、気の置けない友人だということ。
ギンギンに学園一忍者している文次郎くん、焙烙火矢の使い手でSな仙蔵くん。
武闘派だけど後輩想いな留三郎くん、不運だけど治療の腕はピカイチな伊作くん。

それから図書委員のことも。


学園のことを語る長ちゃんは始終穏やかな表情で、学園が大好きなんだろうなぁ、と分かる。



「…みんな、長ちゃんの帰りを待ってるね」
「…そうだと、嬉しいな…」



長ちゃんの為、長ちゃんを慕う学園の人たちの為に
一刻も早く室町に帰る方法を見つけなきゃなぁ。

そう、意気込むのだった。



(そういえば、長ちゃんの周りって男の子ばっかだね?)
(…!(しまった?!))
(…もしかして…)
((バレたか?))
(くノ一ってスゴく少ないんだね?大変そうだもんねー…)
((…よかった…))


END









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