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「〜あっつい!」



外から帰っての私の第一声。
汗が流れて気持ち悪いったらない。

長ちゃんはというと、少し汗をかいているけど私ほどじゃない。
クーラーに慣れ切った現代人はダメだな…!


一先ずテーブルに買ってきたものを置き、Tシャツを脱いだ。
一瞬脱ぐのを戸惑ったけど、まぁ女同士だし、一緒に住むなら着替えくらい。

と、私は思ったんだけど…



「な、名前、何をしている…っ!」



面白いほど長ちゃんが取り乱してる。
おーおー顔真っ赤っかだな。



「やー…暑くて」
「女性が…っ、むやみに脱ぐものじゃない…!」



でも、Tシャツ脱いだところでタンクトップ着てるし。
青系基調のボーダーは、Tシャツからチラリと見えるのが可愛くて気に入っている。
これ一枚でも着れるやつなんだけど…

これは時代だろうなー。
ものすごいジェネレーションギャップ!

必死にTシャツを押し付ける長ちゃんを暑くて耐えられないから、と無理矢理納得させた。


…でも。



「…長ちゃん…」
「(ビクッ)……何だ…」



これはおかしすぎる気がする…

新しい服を洗濯機にかけ、買ってきた食材を冷蔵庫に入れる作業。
その間長ちゃんは全然こっちを見ない!
チラッと見ても赤面して目を反らす。


えー…なんか私、ものすごく悪いことしてるみたいだ…



「怒ってる?」
「…怒っては、いない…」



同性だからいいじゃないかー。
それともまだ会ってそんなに経ってないのに!的な?

気付けば長ちゃんの額には珠のような汗が大量に浮かんでいた。



「長ちゃん、お風呂入ってきなよ」
「風呂…」



さっき買ってきた服も、乾燥機を使えば乾くだろう。
一旦食材は置いて、浴室に案内した。
この浴室はお気に入りで、壁のネイビーと真っ白な浴槽が気に入ってこのマンションに決めたようなものだ。

普段はシャワーだけだが、長ちゃんが来たということでお湯を張っておいた。

扉を開けると長ちゃんは珍しげに見回す。



「これをこっちに回すとシャワーで、こっちに回すと普通にお湯が出るから」



説明をしながらシャワーを出してみると、長ちゃんはビクリと肩を震わせた。
かわいいなぁ!

シャンプーやリンスなどの説明も終えた所で洗濯機が終了の音楽を鳴らしたので、乾燥機にかけた。
これで入ってる間に服の準備は出来るはず。

バスタオルやその他もろもろ準備を終える。



「着替えは入ってる間に置いとくね」
「ありがとう…」
「大丈夫そう?」



私の問いかけに長ちゃんは少し間を置いて頷いた。

僅かなその間は不安ってことなんだろう。



「……」
「……?」
「不馴れだもんねぇ……よし!」



はてなを浮かべる長ちゃんの横で、私はタンクトップを脱ぐ。
と、長ちゃんはこっちが焦る程の形相で私の腕を掴んだ。



「名前…っ!何故、ぬ、脱ぐ…!」
「え?だって初めてだし、一緒に入った方が安心でしょ?」



上がブラだけになった私に、長ちゃんは目を泳がせている。
女同士でも室町は一緒にお風呂とか入んないのかな?
恥の文化とか?

長ちゃんは黙ってしまったので、私はさっさと履いていたサルエルパンツに手をかける。



「名前…!」
「おぉ?!」



その手を止められた。
長ちゃんの視線は足元辺りを彷徨ったり、たまにチラッと胸元を見ては頬を赤らめている。



「…私は、身体に傷がたくさんある…」
「あ…うん…」



手当てをした時に見た。
そしてこんなに若い女性なのに、と悲しい気持ちになったのだ。



「あんまり、見られて嬉しいものじゃない…」
「…そうだよね…」



当然だ。
身体に出来た傷を見られたい女の子なんて居ない。
一緒にお風呂入るなんて拒否って当たり前だよね…

なのに私ったら…



「…ごめんね…無神経なことして…」



考えが浅はかな自分が不甲斐なくて俯くと、長ちゃんは優しく頭を撫でてくれた。



「…気遣いは嬉しい…ありがとう…」



年下なのに長ちゃんはスゴく大人で。
余りにも優しい対応に感動して抱きつこうとした…けど。



「っ、ちゃんと、服を着ろ…」



止められた。
やっぱり顔は真っ赤。


結局、脱衣所で一悶着あった間に服の乾燥が終わり、長ちゃんは一人で入浴した。


(私、もうちょっと長ちゃんのこと考えてあげれるようにならなきゃ…!)

(危なかった…!もう色々、危なかった…!)


next…









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