10 15歳ってやっぱりいっぱい食べるんだろうか。 いやでも女の子だし。 女の子でも忍者なら身体を作る為に食べるかな? けど15歳なんてお年頃だから少食? あれこれ考えながらスーパーへと向かう。 化学調味料はあんまり良くないよね。 時代が時代だからそんなものないだろうし… とりあえずスマホでレシピアプリをとろう。 「長ちゃん、嫌いな食べ物はある?」 「…特にない」 うーん、理想としては一汁三菜か? 悩みながら着いたスーパー。 やはり長ちゃんは珍しそうにキョロキョロしている。 今日は野菜安いなー。 あ、挽き肉安い! よし、ハンバーグだ。 外れなさそうだし。 あとはサラダとスープと、付け合わせに野菜のソテーで大丈夫かな。 その他にも卵やら魚やら数日分をカゴに放り込む。 「長ちゃん何か食べたい物あるなら買おうか」 「……いや、大丈夫だ…」 大丈夫、と言いながら視線はさっきから桃にいってる。 本の時は容赦なかったくせに、ここは遠慮するのか… 赤みの強い桃色。 見るからに美味しそうだ。 まぁなかなかいいお値段だけど、驚く程でもない。 食べたいなら食べてもらおうじゃない! ということで特に美味しそうな桃をカゴにイン。 「、あ…」 「美味しそうだよね!晩御飯の後に一緒食べよ!」 長ちゃんは困ったような顔をしたけど、私が笑って言うと嬉しそうに頷いてくれた。 会計を済ませエコバッグに詰め込むと、袋は二つになった。 そしてそれらを当然の如く両方持つ長ちゃん。 あまりにも自然過ぎてワンテンポ遅れた私は慌てて追いかける。 「長ちゃんっ!いいよ、持つ!病み上がりでしょ?!」 「世話になってる身だ…これくらい、」 「っじゃあせめて片方ずつ!」 近い方を奪おうとするが、遠ざけられたため空振り。 「この程度の重さなら軽い…それに、鍛錬代わりだと思えば丁度いい…」 ここまで来て鍛錬とか真面目さんか! というより、明らかに気遣いだろうな。 でも、そんな気は遣ってほしくない。 どれくらいになるかは分からないけど、一緒に暮らすんだもん。 「…ちょっとずつでいいから、気遣わないで?」 「名前…?」 「心遣いはありがとう!でも…私は、長ちゃんと協力し合って生活したいな」 見上げると、何故かほんのり赤くなる長ちゃん。 「…分かった…じゃあ、片方頼む…」 「うん!」 長ちゃんは袋を差し出してきたけど、何故かわざわざ私から遠い方を渡してきた。 「…?…!」 直ぐには分からなかったが、軽い方を私に渡したみたい。 (長ちゃんって…優しいよなぁ…) まだ短い付き合いなのに、長ちゃんの行動一つ一つから優しさが滲み出ている。 きっと、本当に優しい子なんだろうなぁ… 「長ちゃん、長ちゃん!」 「…?」 「大好き!」 「…っ!」 私は早くも、長ちゃんと出会えてよかったと思い始めていた。 (また…お前は…) (大好きっ!) (〜〜!) next… |