07





長ちゃんと色々話して分かったこと。
それは、長ちゃんの過ごした室町は私の知る室町とは違うということ。

カタカナもあるみたいだし、パラレルワールドって感じなのかな。



「長ちゃん、買い物行こうか!」



本から顔を上げた彼女はキョトンとしていて可愛い。



「服とか下着とか…サイズも私のじゃあわないしね!」



私も決して小さい訳ではないが、長ちゃんは身長が高い。
すらっとしていて、このまま平成に居たらモデルだって出来たと思う。

よって私の服じゃ小さいし、さすがに下着も共有する訳にはいかない。



「…心遣いは有難いが、金がない…」
「何言ってんの!お金の心配は要らないよ!バイトして貯めたお金もあるし」



それでもなかなか頷かない彼女。
本当に遠慮とか要らないのに…



「私が長ちゃんにプレゼントしたいの…ダメかなぁ…?」



覗き込んでお願いしてみる。
すると何故か長ちゃんは真っ赤になってそっぽ向いてしまった。

怒らせた…?



「…安いもので頼む」
「うん!ありがと!」
「礼を言うのは、こっちだ」



優しく頭を撫でられて、嬉しくなってしまう。

長ちゃん用の服は買うけど、とりあえず私の服で出掛けなきゃだよな…

用意したのはシンプルなTシャツにマキシ丈スカート。
本当はショーパンを履いてもらおうと思ったけど、全力で拒否されてしまった。

ブラをどうしようかと少し困ったが、長ちゃんの提案により応急処置で包帯をサラシにした。



「、か…」
「『か』?」
「かっ…わいいー!」



着替えた長ちゃんは凄まじく可愛かった。
シンプルな格好もスタイルがいいとオシャレになるマジック!



「長ちゃん洋服似合うー!」



テンションが上がって思いっきり抱きつくと、またも長ちゃんは顔を真っ赤にして私を引き剥がした。

…あ、そっか。
室町じゃこんなスキンシップはあんまりないから恥ずかしいのかな。



「あとは顔の傷だけど…」



綺麗な顔にあまりにも目立ち過ぎるそれは、外に出れば不躾な視線を向けられるだろう。



「長ちゃんの頑張った証なんだろうけど…ガーゼとか貼った方がいいかもね」



美しい肌に刻まれる傷に指を這わせる。
見れば見るほど、痛かっただろうなぁ…と長ちゃんの味わった過酷さが分かる。



「…っ名前…」
「んえ?」



ぐいーって近付いた身体を離された。



「…近い…」



そんなに近付いてたつもりはなかったけど、長ちゃんにとっては近過ぎたらしい。
やっぱり忍者だから近付き過ぎると警戒しちゃうのかな…



「うん、ごめんね!」



早く信じてくれたらいいんだけど。


簡単に傷を隠して、支度を整えた。


(よし、じゃあ、行こう!)
((少し緊張する…))


next...









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