6.5 *小平太視点 「長次が、消息を絶った」 仙蔵から伝えられたその情報を、私は瞬時に理解出来なかった。 「嘘だろう?長次が、そんな、」 「嘘でこんなことを言うものか」 過去、任務で命を落とした学友はいた。 だが、今回のそれは今までとは違う。 一年からずっと同室で、共に過ごし切磋琢磨し合ってきた仲間だ。 六年の他の誰よりも身近な長次のそんな報せ、信じたくないし信じられない。 それに、長次は強いのだ。 私だって今やり合ったら勝てるか分からない。 その長次がしくじるなんて。 「戦場で大怪我を負っているのが最後に確認出来た姿だそうだ」 「……」 「小平太、まだ消息を絶ったという報告だけだ」 仙蔵の声は心なしかいつもより優しい。 普段厳しい仙蔵だが、実は誰よりも仲間想いなのだ。 「長次は強いからな…大怪我していたのなら、きっと何処かで身体を休めているんだろう!」 「…小平太…」 初めこそ動揺したけど、やっぱり長次は生きている。 そんな気がした。 (早く帰ってこい長次) next... |