きっかけはハプニングによる





「あぁあ!危ないっ!」



一瞬のことだった。
塀の外から現れたのはくノたまの苗字で、塀を飛び越えてきたらしい彼女共々倒れた場所に綾部が掘ったであろう蛸壺。
もれなく2人で落下し、蛸壺内で俺の上に苗字が乗っかっているという状況が出来上がった。



「痛た…ごめんね潮江くん…大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だが…」



聞けば苗字は鍛錬に行くのに出門・入門表にサインするのが面倒で塀を飛び越えて鍛錬に出かけ、同様に塀を飛び越えて帰ってきたと言った。
そして着地点に俺がいたらしい。



「狭いね、この蛸壺…」



1人用の蛸壺に2人は当然キツイ。
モゾモゾと彼女が動く。

と、状況は悪化した。

俺の腰の上に跨る苗字…
このアングルはマズい…!


悟られないように俺も少し身体を動かした。



「や、ぁんっ!」
「?、お前っなんて声出しとるんだ!」
「だ、だって!潮江くんの足が変なとこに当たって、ひゃんっ!」


良かれと思って動かしたのが仇となった。目の前でこんな甘ったるい声を出されたら、いくら鍛錬を積んだ俺でも焦る。



「んぁ、やだ、しおえくぅ、ん!」
「ちょ、待て、」



焦って動けば動くほど状況は深みにはまる。

あぁ、もうダメだ。

頭の中で何かがキレる音。
次の瞬間、俺は苗字の細い腰を掴み、あれだけ遠ざけようとしていた自身の下半身に落とした。



「?、あぁあっ、潮江くんっ?」



互いの袴越しに触れ合う其処。
すっかり反応してしまっている俺の股間に彼女は更に赤面する。



「あ、あ、潮江くん、ダメだよぅっ…!」
「…くっ、苗字…」



くたりと俺の胸に倒れ込んできた彼女。
見上げてくる濡れた瞳に捕らわれ、唇を触れ合わせようと近付けた。











「おやまぁ、潮江先輩に苗字先輩じゃないですか」



それまでの雰囲気をぶち壊す、のんびりとしたその声は
紛れもなく俺等が嵌っている蛸壺の作成者、綾部だった。


慌てて身体を離す俺等。



「あ、綾部くんっ!出られなくなっちゃったから、手伝ってくれないかな?」
「いいですよ、はい捕まって」

綾部の垂らした縄に苗字は捕まり、「先に出るね」と俺に声を掛けて上がっていく。


離れた身体にホッとしたような、残念なような…

…というより、この反応してしまった股間はどうすれば…!



「潮江くん、これに捕まって」



悶々とする俺を余所に呼び掛ける苗字は縄を垂らした。
それを上り蛸壺の外へ顔を出すと、何時の間にか綾部は居なくなっている。



「…綾部は…?」
「帰ってもらったよ」



膨らんだ股間を晒すことにならず一安心。
チラリと苗字を見ると、やはりさっきのことを気にしているのか、俯いている。



「、苗字…」
「潮江くんっ!」
「お、おぅ…」
「私の部屋、来ない…?」



おずおずと見上げてくる彼女はひどく愛らしく、更に腰が重くなるような感覚。



「バカタレ…どういう意味か解って言ってんのか」
「解ってるよ…私、もっと潮江くんと親しくなりたいなぁ…」



そう、欲に濡れた瞳で見られたら。



「…先行って待ってろ」



当然、断れるはずもなく。
少しでも落ち着いて向かえるよう、湯浴みに足を運んだ。


(誘われちまった…!)
(誘っちゃった…!)


END

文→←夢主 です。
ラッキースケベは文次郎のものだと思ってます(^ ^)






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