たまにはこんな日も




長次は優しい。
一緒に本を読む時も、一緒に朝顔の世話をする時も、街に出る時も
…睦み合う時も。

なのに、今の彼はどこか違う。
常ならばもどかしい程に優しい愛撫は、今日は影を潜めていた。
痛いことをされるでも酷いことをされるでもないのだが…簡単に言えば、今宵の長次の睦事は激しい。


噛み付くような口吸い、夜着から侵入したゴツゴツした手は名前の乳房を少し荒々しく揉みしだいた。



「ん、ん…っ、ちょ、じ…」
「……名前」



名前の顎を伝う飲み込めなかった唾液を舐めるように、長次は下へ下へと唇をずらしていく。
その唇は胸へ辿り着き、ゆっくりと、頂には触れないギリギリの処を彼の舌が這う。



「長次ぃ…そこ、や…」
「何処がいいのか言え…じゃないと解らん…」



嘘つき。
そう思うも、悪態をつく余裕もなかった。



「ちゃんと、先、も…触って…」



恥ずかしさを抑えながらも口にすれば、長次はチラリと名前を見てから、紅く熟れた其処にかぶりついた。
期待していた刺激に少し大きな声が上がる。

気を良くしたのか、長次は名前の下履きを取り払い、潤い始めていた秘裂を人差し指でなぞる。
にゅるりと僅かに指が沈み、一瞬内部に触れた。

触れたのはほんの少しなのに、中から熱い液が溢れてくる。


入れないものの、何度も割れ目を往復する指。
時折掠める芽は小さな快感を拾い、すっかり硬くなっている。



「長次、ちょう、じ」



縋るように彼の忍び装束を握ると、表面を撫でていた指がやっと中へと入ってきた。
どんどん溢れ出す愛液を掻き出すみたいに暴れる指が、徐々に増やされていく。
中と同時に、長次は主張している秘芽を舌でつついたり、唇で食む。


ガクガクと脚が震え出す。

ーーイッてしまうーー

そう思った瞬間、長次は指を引き抜き、全ての刺激を止めた。



「な、んで…長次ぃ…」



弱々しく問いかけるが、長次はまるで見せ付けるように名前の愛液で濡れた指を舐める。
そして恥ずかしさで口をつぐむ名前の様子を見ると、僅かに口元を緩めた。

力の入らない脚を大きく広げ、身体をねじ込む。
長次の猛った性器が秘裂をなぞったかと思うと、一気に根元まで穿つ。



「ひゃあぁっ!」



絶頂の寸前まで追い込まれていた名前がそれに耐えられる訳もなく、背中を仰け反らせて呆気なく達した。

連動して収縮する中に、長次は持っていかれないよう歯を食いしばって耐える。


収縮が収まってきたころ、ギリギリまで自身を引き抜き、奥を目掛けて貫く。
荒い呼吸と喘ぎ声と、肌がぶつかる音と液が混ざる水音が部屋に響いている。



「もうダメ、ちょぉじ、」
「…名前…」
「や、あ、あぁーっ!」



名前が達すると共に長次も名前の白い腹に白濁を吐き出した。
はぁはぁと呼吸をしつつ「今日はどうしたのだろう」と考えていると、長次は再び硬度をもった自身を中へと突き刺してくる。



「うそっ…」
「…まだだ…」



結局、その後解放されたのは空が白み始める朝方だった。





* * * * *





目が覚めた時、あの激しい情事が嘘だったかのように長次はいつも通りだった。
私の頬を撫でる手に擦り寄ると、その逞しい胸に抱き込まれる。



「すまない…無理、させた…」
「んーん…でも、どうしたの…?」



彼は一瞬迷った後、口を開く。



「組の奴らが、名前のことを話しているのを聞いた…」
「私のことを?」



一体なんなんだろう。
もしや悪口とか?



「…愛らしい、抱きたい、と…」
「!」



自分の預かり知らぬところでそんなことを言われていたなんて、恥ずかしい…



「嫌だった…名前は、私のだ…」



ぎゅうぅ、長次の力が少し強くなる。

最中の男らしさとは打って変わって、幼子みたいで可愛い。
長次が、嫉妬かぁ…



「長次、私、あんなに乱れるのは長次だけだよ?」
「…ん…」
「大好きなのは、長次だけ」
「…私もだ」



優しい彼も大好きだけど、たまにはこんな愛し合いもいいよね。


(あれ、長次さん…この手は…?)
(…足りない)
(えっ、もう無理っ…、やぁんっ!)


END






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