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いそいそとキラーさんの部屋に向かう。
抱える袋は彼へのプレゼントで、割と本を読むから好きそうな本を先日出航した島で買ってきたのだ。
トントンと軽くノックをすれば鋭いキラーさんのことだ、恐らく私と気付いてだろう、柔らかい声で空いている、と返事が返ってきた。
「失礼します」
一言かけて入るとキラーさんはベッドに座り本を読んでいた。
あの本は確か、もう2回は読んでいるはず。
「***、どうした?」
「キラーさん…お誕生日、おめでとうございます!」
言葉と共にプレゼントを差し出す。
キラーさんはゆっくり受け取り、その袋を見つめた。
「あぁ…今日誕生日だったか…」
抑揚のない声。
興味なさそうなのはとてもキラーさんらしいな、と思う。
依然包みを見つめ続けるキラーさんが何を思っているか、解らないほど私はバカじゃない。
「私、キラーさんと出会えて嬉しいです」
弾かれたように顔を上げた彼に、私はかわいいなぁなんて関係ないことを考える。
「こうやってキラーさんとお話出来るのも、この日がなければ有り得なかった」
「***…」
「だから、お誕生日おめでとうございます。生まれてきてくれてありがとうございます」
へらりと笑えばキラーさんは強い力で私を引き寄せ、抱え込むように抱きしめた。
キラーさんの熱と、キラーさんの匂いをダイレクトに感じて心臓が爆発するんじゃないかってくらいドキドキする。
「もったいない言葉だな…」
「足りないくらいです」
「…ありがとう」
ふわりと揺れる彼の金髪を撫で、私は今日という日に感謝した。
(キラーさーん!誕生日おめ……あ。)
(お前たち…邪魔してくれたな)
(すんません!だから刃しまって!)
((まさかキラーさんと***が抱き合ってるなんて思わなかったから!))
end.
Happy birthday!
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