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私の憧れの人。
それはこの船の船長、ユースタス・キッドさん。

怒らせたらそりゃあ恐いけど、なんだかんだでクルーを大事にしてくれる。

私なんて船長の前では非力だが、何とかお役に立ちたいのだ。


今日はそんな船長のお誕生日!
運良く島に停泊中。

せっかくだから船長が欲しいものをプレゼントしたい。



「船長!」
「ア?あぁ、***か」



気怠げに振り向く船長。
…っ格好いい…!



「あの、お誕生日おめでとうございます!」
「…あぁ、そうか…サンキュ」



この自分の誕生日すら忘れてるような無頓着さも格好いい!



「それで、あの、欲しいものって何ですか?」
「欲しいもの?別にそんなんいらねーぞ」
「でも、私が何か贈りたいんです!」



力いっぱいそう伝えると、船長は分かったよ、と了承してくれた。



「じゃあ…酒」



まぁ想像していた答えだ。
しかし、私は甲板を見渡す。

そこには多くのクルーが既に船長にと大量に購入された酒が山積み。
おそらくまだ増えるだろう。



「…酒は、とりあえず大丈夫かと」
「…そうだな」



他に、と問えば彼は考える仕草をし
思いついたのか、ニヤリと笑った。



「俺の望みでいいんだよな?」
「は、はい…出来る範囲ですけど…」
「じゃあまず"船長"ってのやめろ」



何を言われるかと内心どきどきしたが、船長の注文は意外なもの。



「へ?」
「俺の名はキッドだ。そう呼べ」



そんな恐れ多い…!
躊躇する私を彼はじっと見つめる。

この鋭い眼光に射抜かれたら、拒否なんて…



「…キッド、さん…」



蚊の鳴くような声で呼べば、船ち…キッドさんは満足げに笑った。







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