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人は自分にないものを持つ人間に惹かれる。
そう聞いたのは随分前のこと。
聞いた時はよく分からなかったけれど、今はすごく分かる。
…相手は「サイボーグ人間」だけど。
「おぅ***!今日もスーパーか?」
後ろから掛けられた声にドキドキしながら振り向く。
そこには露出しまくった大きな身体。
「おはよ、フランキー。フランキーは今日もスーパーだね!」
「おうよ!あったりめーだ!」
年上に思えない無邪気な笑顔に、ほんのり香るコーラの匂い。
…顔、赤くなってないかな。
「あのさ、フランキー…」
「ん?」
引っ込み思案でなかなか考えを言えない私。
正反対に行動力があって男らしいフランキー。
彼はいつだって私を引っ張ってくれる。
私の言葉を急かさず待ってくれる。
でもそれだけじゃいや。
大事なこの日に、私は一歩前に進むと決めたの。
「…誕生日おめでとう」
「………え」
「生まれてきてくれてありがとう。私、フランキーが大好き」
い、言えた…!!
恥ずかしいけど達成感を感じ彼を見上げる。
「な、***…っ!」
「え、フランキー?」
シュウシュウと音が聞こえそうなくらい真っ赤になった姿。
「誕生日祝われるだけでも嬉しいのに…んな可愛いこと言うんじゃねぇよ」
照れてるフランキーなんて初めてみた。
かわいくて、愛しさが募る。
「…なに笑ってんだよ」
「ん?ふふ、かわいいなぁって」
「っ…だぁー!」
「ふぇ?!」
閉じ込められた腕の中。
忙しない鼓動が聞こえる。
「誕生日だからな」
「うん?」
「欲しいもんもらうぜ」
そう言って落とされた口づけはやっぱり甘い甘い、コーラの味だった。
(ファーストキスは、コーラ味)
end.
Happy Birthday!
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