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手を引かれ、彼の部屋に入ると逞しい腕に包まれた。
「たいちょ…!」
「…なに、マルコと話してたンだよ…」
普段からは思いつかない弱々しい声に、抵抗を止めてリーゼントを崩さないよう優しく頭を撫でる。
「サッチ隊長のお誕生日何がいいかな、って」
「俺の誕生日?」
「好きな人の誕生日だから失敗したくなくて…でも結局思いつかなかったんで」
少し隊長との間を開け、ちょっと情けなく眉を下げた彼を見上げる。
「私がプレゼントになります」
にっこり笑って言うとサッチ隊長は驚いたように目を真ん丸にする。
「なーんちゃっ、て、え?!」
冗談だと言わんとしたところで、その腕に再度収まった。
「…くれよ」
「ほぇ?」
「俺、***がほしい」
嘘だと思ったけど、伝わる鼓動と驚くほど真剣な声に彼の本気を知る。
「…どうぞ」
「サンキュ」
「私の方がプレゼントもらっちゃったみたい」
「ンなことねぇよ」
最高に嬉しい、と微笑むサッチ隊長は
本当に優しい、幸せそうな顔をしていた。
(プライスレスな贈り物でしょ?)
end.
Happy Birthday!
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