あれ?ここはどこ…?

周りを見回せば辺り一面ふわふわとしたミルク色に包まれていた。

なんだろうかと少し悩んだ末、ああこれは夢だという至って安易な結論に落ち着く。

夢の中かどうか試しに頬を抓ってみると、ほらやっぱり痛くない。体中がふわふわした感覚で覆われている為か、なんだか無性に心地よかった。


ふと私の目の前に、ポンという擬音と共に見慣れたサラサラの銀髪男が現れた。びっくりした…けれどここが夢の中だと思い返せばそんなに驚く事ではないのかもしれない。



「スクアーロ?」
「なまえか」
「…本物、な訳ないよね、」
「何言ってんだぁ?」



手を伸ばして彼の肩に触れてみる。
ちゃんと実体があって安心した。

そのままぺたぺたとスクアーロの体を適当に触っていたら、いきなり身を屈め私と目線の高さを合わせた彼に「誘ってんのか」と聞かれた。全く意味が分からない。

体に触っただけで誘っているというならルッスーリアは年中誰かを誘っていることになるじゃないか。まあそれは間違いでは無いのかもしれないけれど。



「寝言は寝て言えカス鮫」
「何気取りだお前は」
「ボス気取りだ悪いか」
「悪くはねぇが可愛くねーぞぉ」



可愛くなくて結構だと顔を逸らしたものの、優しい手が私の頬に添えられた為すぐに元通りになった。夢の中とは言え殺人的だ。


「スクは私の事好き?」
「いきなりなんだぁ」
「好き?てか好きって言えよ」
「横暴か」


ごんと小さく鈍い音を立ててスクアーロの拳が私の頭へと投下された。
ちょっと、いやかなり痛くて思わず後頭部を抱え込む私を見て何だか満足気なスクアーロに苛立ちを覚える。

そのまま噛みついてやろうかなんてクソ餓鬼思考が働いたものの、それは彼が間髪入れずに口を開いた事によって見事立ち消えになってしまった。このやり込められた感がまた癪に触るんだけど。



「まぁアレだな」
「?」
「好きか嫌いかで言やぁ、かなり好きだぁ」
「…なにそれ意味不明」



私は緩みそうな頬を抑えて渋い顔を繕った…ところで目が覚めた。

いいところで邪魔しやがって。
乱暴に小さく舌打ちを零して布団を除けると、冬の棘々としい空気が肌に刺さって小さく身震いする。


…まあでも、初夢としてはいい夢だったからいいか。

今日スクアーロに告白してみよう。そんなミルク色の決意を抱きながら、私は大きく伸びをした。



∴結局スクアーロはえろい



(20120101)



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