なまえ先輩は部活内でも有名なドMだ。
上級生や同級生、ひいては下級生にまでイジられている姿をよく見る。

そのたびに頬を上気させて、涙目になってるからいつも凄くそそられて見入ってしまうワケで。
それはつまりミーはドSって事なんだろうなんて考える。

でもそれも仕方無い。
だってあんな顔で、止めてなんて懇願するもんだから。

アレ絶対誘ってますよねー。
そう思い始めたら何だかなまえ先輩を泣かせたくて堪らなくなった。





「なまえ先輩ー」
「ふぇ!?ふ、ふふ、ふ」


フラン君!?と文字通り目を丸くして驚く先輩につかつかと歩み寄る。

時は夕暮れ。善は急げと言う格言に従ったミーは、放課後家路に就くなまえ先輩の後をこっそり付けていた。

犯罪すれすれだとは分かってはいるものの、生憎今日は校内では先輩と会う機会がなかったんだから尾行が一番の近道だと判断したから。そして人気が無くなったのを良いことに、こうやって突撃したってワケ。

それにしても驚いた顔も、スッゴいそそりますねどうしよう。



「どうしたのこんなとこで?」
「先輩をイジメよーと思ってー」
「え、私をいじめ?」
「はいー。先輩が三年とヤッたって小耳に挟んだんですー」



意外に尻軽ですねーと続ければ、なまえ先輩は顔を真っ赤にしてすぐさまブンブンと頭を振る。

まあハッタリだから当たり前だけど、この余裕のない反応。
これが見たかったんだと内臓という内臓が震える気がした。



「やっ、や、や、るわけない、っ」
「嘘吐いちゃダメでしょー」
「う、そじゃないから!」
「ぷぷ。先輩マゾだから隠すの下手ですねー」



先輩がミーの望み通りの涙目で違う違うと訴えてくるものだから、思わず高ぶった感情に任せて電信柱と壁との間に追い込んで容赦なく詰め寄る。だから、その怯えたような目が逆効果なんだって。

まるで分かっていないなまえ先輩に内心ほくそ笑みつつも、そのまま顔を近付ければ交わる吐息。



「やだ、っフラン君…何する気?」
「何って分かるでしょー」
「いやぁ、やめて…っ」


離してと懇願する先輩が殺人的に可愛くて、もっともっと嫌がる姿が見たくなる。背中がぞくぞくするこの感覚は、きっとなまえ先輩じゃなきゃ味わえない。



「誰かに見られたら、どうしましょーねー」
「っいや、駄目、フラン君」
「内心喜んでるクセに」
「そんな事ない、からっ…」
「アバズレが良く言いますねー」
「あばずれじゃ、なくて…!」
「すぐに股開くメス猫でしたねー」



羞恥にまみれてくしゃっと歪められた顔に背徳感からのゾクゾクが止まらない。

もっともっともっと。
なまえ先輩をもっと困らせたくて泣かせたくて、彼女から零れそうになっていた一粒の涙をペロリと舐めとってやった。

もっともっと、泣いてよ先輩。



∴フランはかなりサディスト



(20120103)



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