花田 【黒猫と】 今日は部活がミーティングだけで早く終わった。 だから田島と2人でいられると思ったのに田島を見失った。なんで。 光の速さでどっか行った。たぶん俺がまばたきした瞬間だと思う。いやありえねーけど田島ならありえる。 だから校舎内を歩き回ってたら、さっき会った先生と一分も経たない内にまた巡り会った。 こんな所で運命感じてる場合じゃないのに。すげー気まずくてもう窒息死しそうだった。 通り過ぎるまでの5秒があんなに長く感じたの初めてだ。もしかして先生スローモーションで歩いてんじゃないのとか思って見てみたらホントにしててビックリした。 先生の残り少ない髪の毛見つめながら、しばらく突っ立ってたと思う。妙に貫禄があって見覚えあんなーって思ってたら先生じゃなくてサザ●さんのじいさんだった。髪の毛一本の方がどっちであっちでこっちでそっちがどうだったっけ。 とにかく気を取り直して田島を捜し始めた。こういうときは相手の気持ちになって思い入れのある場所とか捜すといいってどこかで聞いたことあったから、初キスの場所だった図書館行ったら田島はいなくてどうしようもない気持ちになって死にたくなった。図書館に対する嫌な思い出が頭の中にセーブされた瞬間だった。一生忘れない。 やっと見つけたのは30分経ったときだった。まさかとは思っていつものグラウンドへ向かったら、案の定しゃがみ込んでいる田島を発見した。 だんだん近づいていくうちに足が自然と止まった。 「チビは何してんだ? 俺はな、コイビト待ってんの! 花井っていって、もーかっけーの!」 独り言かと思ったら、どうやら田島の目線の先には黒猫が寝転がって日向ぼっこをしていた。 その黒猫をチビと名付けたらしい田島は、まるで幼い子供のように話しかけていた。何あれ、すげー可愛いんですけど。写真撮りたい。ちょ、誰かお願いカメラ貸して! 「気持ちよさそうだなー。眠いのかー……? 俺も……なんだか眠くなってきちった………よ……」 「……おやすみ」 田島の無防備に後ろへと倒された頭を、俺の足が支えた。 とことんラブラブにさせようと思ったら全然あずさちゃんにならなかった。 あずさちゃんって人物像が途中からどこかにいって弾けました。 最近こんなの多いなー 日記じゃない日記みたいなやつ。 |