劣化複製品が存在する事。友人にとって、私の存在する価値や理由は確かにあったはずだった。私も彼女を守ってあげる事に誇りを持つ事だって出来た。彼女の為と、働く事が私の存在理由だった。

でも、私を理解してくれる人はもう、この世にいない。

劣化複製品が、生みの親の前に存在する事。ジェイドにとってフォミクリーは禁忌になっていた。そこに、私の存在する価値や理由、意味なんて存在していないも同然だった。

生みの親、私の父であり、仲間。私が存在する事で彼が苦しむのであれば、親孝行なんて出来ない。

こんなレプリカに、生をくれたあなたに、恩返しがしてみたかった。死ぬ前に一度、会えればいいと思っていたの。

ねぇ、お願いがあります。ジェイド、聞いてくれますか。

せめて最後は、あなたの手で、フォミクリーの全てを終わらせてください。
こんな私に、居場所なんてものはもう存在していないから。

「無理に、笑わないでください」

そう私がぽつりと呟けばジェイドはほんの少しだけ表情を歪めた。過去を知ってしまった私にとってはその張り付いた笑顔があまりにも痛いのです。

何度も何度も、苦しめてごめんなさい。私は心の奥底で声に出さずに、言った。