幸せだと感じるようになったのはいつからだったろう。何かを失い、何かを得る。それは自然の摂理であると気が付いたのはとうの昔だったけれど、私は幸せだとは思っていなかった。

いつからだろう。誰かが恋しくなったというのは。愛しいと思える人がいて、その人を愛する事が出来る…複製品にはそんな事が出来るなんて思わなかったから。

私の価値って何だったんだろう。そんな事なんて気にならなくなった。価値なんて知らなくていい。私が私であればそれでいい。全部全部。教えてくれたのはいつも。

「ジェイド」

隣にいてくれる、あなたの存在でした。

「私、とても今幸せって思えるんです」

「急にどうしたんですか、ナマエ?…まぁ。私もそう思いますよ、心から」

皮肉ばかりの彼がいて私が存在する。そしてこうしてそばにいられる。それでいいんだろう?私は精一杯の笑顔でジェイドの手をぎゅっと握りしめる。

もう、いいよ。縛り付けるものから解き放ってくれたのもジェイド。だから私はあなたに尽くしたいんだ。価値なんかに囚われる事無く、私は私として生きていこう。

いつまでも、あなたの隣で。