「私をあなたの計画の糧にしてください。私もレプリカ…第七音素の塊ですから」

突然姿を現せた女は自ら自分はレプリカだと名乗り、俺の計画を知っていた。あの屑の仲間かという結論はすぐに出る。レプリカを代用として障気を消す…俺のローレライの鍵を使って、だ。それにしてもこいつは馬鹿か?計画の糧にするという事は消える事を意味する。

「お前、その言葉の意味を分かって言っているのか?…そうだとしたら馬鹿としか思えんな」

「もちろん、理解した上で述べています。せめてもの親孝行、と言ったところでしょうか」

「親不幸の間違いじゃないのか?自ら進んで死を選ぶとはな」

そもそも私にとって死と表現することは間違いだと思うんです。レプリカは物だから…消えるとか壊れるのほうが正しいかもしれない。そう告げた女は苦い笑顔を見せて言う。…同情をする気はないが、それにしてはあまりにも酷だと感じてしまった。親というのは死霊使いの事を言っているのだろう。

「それに、私がルークの代わりになるほうが最善の選択だと思うんです。ローレライは二つで一つ。二人とも生きていなくては意味がない」

「っ、お前宝珠の場所を知っているのか!」

場所はすぐに分かる、心配するなと言った女はゆっくりと微笑み、頭を下げた。消える事が最後の最後で出来る親孝行だからと呟いた女の名前を聞く事はなく、女は静かに去って行った。

――計画を実行するのは明日の正午。