虹のようだと、漠然と思った。

どうして思考がそのように働いたのかは分からなかったけれど、確かにそう思った。っ多分、まだ幼かった頃にやっていた事を思い出したからかもしれない。
小さなじょうろにたっぷりの水。お日さまのある方へ向けて水をこぼせば、見える虹。

掴める距離に、確かにあるはずなのに。
手を伸ばせば当たるのは冷たい水だけだ。だけど諦めきれなくて、また手を伸ばす。その度に現実を思い知らされたとしても子供は諦めない。
いつか掴むことができたらいいと、一心に思い馳せるだけで事実から目を背けるのだから。

「……一之瀬は、虹だね」

目の前に立つその背中にぽつりと呟く。今そうして空を見上げているのも、悲しげな表情を浮かべているのも全部あの子を見ているからでしょう?
向けられることのないその感情が少しでも私に向けられれば、そうすれば私はすぐにそれを受け入れられるのに。
虹が掴めないように私に一之瀬は掴めない。けれど一之瀬もあの子を掴めない。あの子も思い人を掴めない。

ざまぁみろ、なんて思ってしまうのは。

「好きで仕方がないから、だよ」

終わることのないこのループを、断ち切る術はありますか。


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