「うわ、何この部屋!」

クーラーの効きすぎているという私の部屋に彼女が足を踏み入れる。寒い、と呟いて君は身を震わせた。「普通の温度じゃないか」近くにあった本を手にしながら私は言う。異常だよと彼女は苦笑しながら私の隣に腰をかけた。外は暑かったのだろうか、首筋には汗が滲んでいる。

「こんなに冷えた部屋じゃさすがに食べたくないかなぁ…」

がさがさと手にしていたビニール袋から顔を出したのは二本の棒付きアイス。

「風介食べるかなぁって買ってきたんだけど、」

「食べる」

「うえっ本気!?…お腹、壊さないでよ?」

彼女から受け取ったアイスを口に運ぶとシャクリと音が響いて、君はまた身を震わせた。

「さ、む…ぅ」

「…こうすれば多少は違うだろう?」

私はアイスを手にしながら彼女の背後から包み込むように抱きついて首筋に顔をうずめた。何故だか理解できないが彼女は悲鳴を上げて顔を赤く染める。どうかしたか?そう彼女の顔を見ながら問えば見るなバカぁ!なんて怒鳴られる。

君は、どうして怒ったんだ?


鈍い彼

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