「一番になりたいなぁ」

ぽつりと呟いた彼女は折った紙飛行機をひとつ飛ばす。少しだけ弧を描いたそれはパサリと地面に落ちた。今の紙飛行機、私みたい。

「どうしたんだ、急にそんなこと」

「いつも思ってることだよ。一番になりたいと願っても届いたりしない。きっと私じゃ釣り合わないんだろうなって、ね」

地面に落ちた紙飛行機を物悲しそうに見つめる彼女は本当に思い悩んでいるようで、どう声をかけてやればいいのか分からない。

「何の一番を目指しているんだ?」

数秒間の空白。真剣な眼差しをした彼女が指差したのは、俺。

「マークの一番、好きな人になりたいって」

切なそうに目を細めて微笑むお前に全てを持っていかれた俺の手元には何もない。これからもっと、お前に惚れてしまうのだろうけど


奪われた温度

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