!兄弟分裂でアツヤ生存してる話


「あの、敦也君、私士郎君に呼ばれてるんだけど」

「行くな、」

「でもずっと待たせてるし行かないと」

「行くなよ」

さっきからこんな調子の敦也君は私の右手を握りしめたまま、雪をかぶっていた。ずっと外にいたのか彼の手は冷え切っていて士郎君も同じだろうと士郎君の待っている姿を思い浮かべた。士郎君が私を呼んで待ち合わせをしたのだ、話があるって言って。敦也君はそれを知っているようで。早く行かないと士郎君が凍えちゃうよ。ぽつりと呟けば彼はより一層眉をひそめた。敦也君は少し考え込むと私の右手を引いて歩き出す。「兄貴のところ行くぞ!」と怒鳴って。意地悪しちゃったな。私は恋愛が分からないほど初心ではない。

「兄貴に言いに行く」

「何を?」

「俺が、その…お前が、」

「私は敦也君が好きなんだけど」

私がさらりと言ったその言葉に赤くなった敦也君のうっすらとした赤は、よく真っ白な雪に映えた。


砂糖の雪原に苺をひとつ

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