追いかけていただけの背中が隣に並んでいる。隣に私がいる事が許されている。

ネオジャパンが密かに結成されて、瞳子姉さんに誘われた私はマネージャーとしてチーム入りした。デザーム様…砂木沼さんがいると知ったから入ったというのも理由のひとつ。イプシロンにいた時から彼の強さに追いつこうと、彼の隣に並べるようにとしていたのが嘘のよう。当たり前のように私は砂木沼さんの隣にいるのだ。

「エイリア…いや、名前だったな。手当を頼んでもいいか?」

「もちろんですよ、デザーム様。…じゃありませんでしたね、ごめんなさい。ええと…砂木沼さん」

互いにまだ現在の名前には慣れていない。ついつい癖で以前の名前を呼んでしまう。少しだけ、ほんの少しだけだけど砂木沼さんの表情が和らいだように見えて私は嬉しくなった。

「砂木沼さんとまた、こうしてお話もサッカーもする事が出来て嬉しいです」

私は試合には出られませんが…と呟けば少し私の表情を覗き込んでくる砂木沼さん。いつもより近い距離が私の心臓を一層高鳴らせるのだ。私のほうへと伸びた彼の手はまるで慰めるような優しい力で私の頭を撫でる。

「お前が出られない分、私はもっと力をつけねばならないな」

こんなにも優しい言葉を、仕草を、行動を取るなんて。私の気を知らない無自覚なあなたは、ずるい。


その言葉はまるで蜂蜜のように

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