「…どうしたんだ、名前」

「うっせぇよぉぅ、ばぁーかっ、…さく、まぁ…っ」

…え、まさかこいつ酔ってる?明らかに呂律が回ってない。ああ、そうか。こいつに渡した俺が悪かった。

何それ。美味しそうなチョコだね。いいなぁ、一口もらっていい、佐久間?

あまりにも目を輝かせて言ったものだから早く視線をそらしたいという思いを兼ねつつ適当に手にした一粒手渡した。運悪く手にしたのがウイスキーボンボン。親戚からの土産だともらったチョコレートの詰め合わせの中に入っていたらしい。

「お、お前っ!まさか食べたのウイスキーボンボンか!?」

「っんぅ…ういすきぃぼんぼん…って、お酒入ってるヤツ…?」

まぁとりあえず。そう呂律の回っていない言葉を発した名前は寒気がするほどにっこりと笑って(まぁ可愛いと思うが)頬を紅潮させ、若干目を潤ませながら俺の顔にそっと近づいて。

「何す、っ、名前!!」

「えへへっ、佐久間も一緒に酔おうよぉ!」

こいつの口からは甘ったるいチョコの味と微かなアルコールの風味が漂った。あのな、理性持たなくなりそうだからお前から仕掛けてくんな、バカ!


トラップチョコレート

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