彼女が俺の名前を呼んでくれる度に俺の心臓は大きく脈を打つ。名前とは言ってもそれは苗字。いつか虎丸、と下の名前で呼んでくれる日は来るのだろうか。小学生が背伸びしていると言われようが俺は名前さんに恋をしている。この気持ちは真剣なものだ。

「今日の午後の練習、組む人がいないから私と宇都宮でペアなんだけど何かしたい事ある?」

「俺は何でも平気ですよ!」

何という幸運。まさか名前さんとペアで練習出来るなんてそれだけでもやる気は十分だ。

「何でもいい、か。じゃあ宇都宮のシュート受けてみたいな!」

「名前さんがキーパーで、ですか?」

でもそれだけじゃ楽しくないよね、と苦笑しながら言う名前さん。楽しくするなら…そうだ。

「どうせなら勝負とかしてみませんか?」

「勝負って負けた方が勝った方の言う事を聞くみたいなやつ?…いいね、その勝負乗ってやろうじゃん!」

にっこりと笑う名前さんは若い衆に負けてらんないなとやる気も気合いも十分の様子。

「俺、勝ったら名前さんに言いたい事があって」

「言いたい事?…私も宇都宮に勝てたら言おうかなって思ってたんだけど…」

あれ、何だろうこの感じ。顔を赤くしながら呟く名前さんを見てもしかして、なんて思ってしまう。

「あのね、宇都宮。思い違いだったら悪いんだけどね、」

小さく呟いた名前さんの言葉で勝負する必要性はなくなった。


それって告白ですか

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