※他校生ヒロイン


目の前から歩いてくる生徒は他校の生徒だろうか。近付いてくる人物には見覚えがある。確か随分と前に一方的な練習試合をした中学の選手として出ていたはずの、

「苗字、名前」

あと数メートル程の距離で足を止めた苗字は笑みを浮かべながら覚えてくれてたんだ、と一言。

「鬼道が帝国から雷門へ移った今、帝国学園サッカー部の責任者は源田幸次郎君、君でいいのかな?」

「とりあえずそうなるのか?佐久間も同じようなものだが」

「そう、佐久間次郎君もか…まぁいいや。帝国の責任者の一人である君に用があるんだ。ちょっと我慢してもらえないかな?」

我慢って何の事だ、と問う前に容赦なく俺の頬へ向かう苗字の平手。大きく乾いた音が響く。茫然としてる俺に向かって苗字はにっこりと笑みを浮かべたまま言葉を続ける。

「この前の一方的な練習試合の件はこれでチャラって事で代表として一発お返しに、ね。もちろん鬼道にもやったから安心して?いきなりごめんね、源田君」

俺の中での苗字名前の印象は最悪だ。ひりひりと鈍い痛みの残る頬に手を当てながら茫然と立ち尽くす。佐久間の元へ向かう為にすたすたと足早に去る苗字の背中を見ながら俺は一人呟いた。

「インパクトが強すぎて忘れられないだろうな…」

のちに苗字は俺の彼女になっていて今思い返せばかなり笑いものになるような初対面だ。それを苗字に言ってみると最初の頃はギスギスしてたよね。苗字はそう言って苦笑するのだった。


今思えば笑えるけど

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