マネージャー達の中にはアイツが混ざっていて練習を終えた俺とマックスの元へ駆け寄ってきては一緒に帰ろうといつもの笑みで言ってきた。そういえばマックスもそういえばコイツのこと好きなんだよな…恋敵は結構いる。

俺も苗字のことが好きな一人。いつまで経っても言い出せないのはナヨナヨしてるからだよな。やっぱ俺中途半端なのかな…

あいにく仲のいいマネージャー達とは逆方向の帰り道なので大抵は俺とマックスに声をかけてくる。帰り道の途中にある自販機の前で週一回恒例のじゃんけんをやって帰る。簡単に言えば負けた奴がおごり。長いことやっているけれど俺は未だに無敗だ。

「よし、今週もいくよー!最初はグー!」

じゃんけんぽん、という掛け声で手を出せば負けたのは苗字だ。

「ま…また私がおごり?うう、半田ってこういうのは負けないよね中途半田のくせに…」

「中途半田とか言うなよ!…大体お前が弱すぎるだけだよ苗字」

「前の前は僕がおごったし、半田だけおごってないよねぇ」

ざまあみろ、と心の中で思いつつ苗字から手渡されたコーラを開けると吹き出す炭酸と泡。勢いよく吹き出した泡は俺の顔にまでべったりとくっついた。

「へっへーん!ざまあみろ半田!」

「今までおごった事ないんだから恨まれて当然だよねー苗字?」

けらけらと笑って俺を眺めているマックスと苗字に無性に腹が立って思わず手にしていた缶を握りつぶした。

「お前らなぁ…ふざけるなよマックス、苗字!」

「うわわ、半田が怒った!逃げよう苗字!」

「逃げろ逃げろっ!」

ベタベタになった顔を拭いながら逃げる二人を追いかける。こうしている時間は心地いいけどそろそろ俺も中途半端から抜け出そう。苗字に対する気持ちを、ちゃんと。


抜け出そうぜ青春

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