恋愛とか興味ない。ただただこうやって夢中にボールを追いかけて、ボールを取りに全力を尽くす。そんな事ばかりやってた私にはこの際恋愛なんてどうでもいい話であるわけで。

シュート練習を一緒になってやるのが一番好きだ。人によって個性があるからいろんな人のボールを受けるのは本当に面白くてこれだからキーパーやめられない!

「苗字って本当にサッカー好きだよなぁ」

練習が終わって後片付けをしているとボールを集めに行っていた半田が戻ってくる。そんな言葉を投げかけた半田は担ぐように持ってきたボールをカゴに入れていく。

「円堂のほうが私なんかよりよっぽどじゃないかな?」

半田の言葉に返事を返すとそれ言えてる、と同意の声がまた戻ってきた。隣にいる半田に目を向けるとよく見れば今日の練習で体中泥だらけ。近くにあったスポーツタオルを差し出すと手短なお礼の言葉が私に振りかかる。

「シュート練習の時、特に面白そうな目でやってるよな」

「キーパーって事もあるんだけどボール受け止めるの楽しくて…ってなんで分かるの?」

「いや、何となくっつーかよく見ればわかるって言うかさ」

よく見れば分かるものなんだ、そういうのって。ふうん、と相槌を打つと半田に溜息を吐かれてベンチに腰掛けた私は顔を上げた。なんでそこで溜息吐かれたんだろう。疑問に思っていると半田が小さく呟いた言葉が耳に入った。

「苗字、鈍感すぎ」

「えっ…鈍感ってなんで?」

その時は間抜けな返答をしてしまったけど翌日秋ちゃんに相談してみた。


「名前ちゃん…それってもしかしたら半田君、」

ぼそりと私の耳元で秋ちゃんが言った言葉はあまりにも刺激が強すぎて。

「そ、そんなの言われなきゃわかんないってばっ!」

とりあえず今すぐ倒れてしまいたいくらい恥ずかしい。


鈍感な少女の悩み

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