「豪炎寺が好きなんだ、私」

「やっぱりそうだったんですか名前先輩!?」

キラキラと目を輝かせた春奈ちゃんの視線がグサグサと突き刺さる。いや、正直言うとまだそうと決まったわけじゃなくてその手前というかなんというか。そう呟くとしゅんっとした様子でそうですか…なんてあからさまに落ち込まれてしまった。私はどうしたらいいのか分からなくてあたふたしてしまう。なんて言葉をかけるべきなのかな、こういう場合。

「ええっと…そんなに落ち込まないで、春奈ちゃん!」

「私は名前先輩を応援したくて…」

「何て言えばいいのかな、こう…よく分からないけどフワフワした感じがするんだ」

私の言葉にキョトンとした様子を見せる春奈ちゃん。その表情は僅かに引きつっていた。呼ばれた声に振り返ってみればそこには豪炎寺の姿。私の顔も瞬時に真っ青になっただろう。

「な、何、豪炎寺?」

心臓に悪すぎる。冷静なフリをしてみたけれどバレていないだろうか。

「練習に付き合ってくれないか?円堂は違う練習してるみたいだから相手がいないんだ」

「わかった、今行くよ!」

グローブを身につけながら豪炎寺の隣を歩く。さっきの会話は聞かれていたのだろうか。

「あのさ、さっきの話…聞いてた?」

恐る恐る聞いてみると返ってきた言葉はさぁな、なんて素っ気ない一言。はぐらかされた?と疑問に思うのと共にもしかしたら聞かれてたんじゃないかと一気に熱が上昇していく。

「は、ぐらかさないでよ、豪炎寺!」

赤くなる顔と大きな脈に苛立ちを覚えながら怒鳴った私はしばらく豪炎寺と話す事が出来ませんでした。結局のところ、私は豪炎寺が好きなようです。


結局どちらで

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