「っ、とと…今回は一筋縄じゃいきませんね、ギーマさん」

口元を吊り上げてニヒルに笑いながら目の前にいる少女は言ったがその表情にはまだ余裕が残っていた。むしろ余裕がないのはこちらのほうだ。レパルダスに回復の薬を使ってやる。まぁ…きっと一撃持つか持たないかだろうが。

「いつまでも君に負けていられないだろう?何度目だっけ、挑戦しに来るの」

「…そう、ですね…毎日一度のペースだから今日で93回ですかね」

「いくら勝負師だとしても絞り取られてるからね、君には」

底尽きてしまいそうだよと苦笑すればそんな事ないクセに、と彼女は戦闘に出ているルカリオをそっと撫でながらにんまりと笑う。93回。その分だけ彼女は俺を倒し、アデクさんまでも打ち負かしているのだ。

「ギーマさん、」

まだ幼さを残したソプラノがふわりと薄暗いフィールドに響き、運ばれる。いつもの余裕を浮かべた笑みは崩れてはいなくて彼女は何も音として出さずに口の形を変えて何かを呟く。

「私は今、なんて言ったと思いますか」

そう問いかけた彼女の顔がほんの少しだけいつもと違う事に気が付いたのは何度も戦っているからか、それとも。

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -