呆然としていてごろごろしていただけ。家に引きこもりがちな私はただただそうして過ごすだけ。それが生きているというのかは分からないけど呼吸は確かにしているさ。
インターホンが鳴り響いたのが聞こえて、気だるい体をベッドから起こす。時計の針は既に夕方の五時。誰が何しに来たんだろう。
適当に返事を返してドアを開けば、そこには見慣れた影がぽたぽたと水を垂らしていた。

「な、なんでずぶ濡れなんですか!」

「ちょうど来たみたいなんだよね、例の豪雨をもたらすポケモンがさ」

へらりと笑った声の主はギーマさん。いつもつけているマフラー(というかスカーフ?みたいなやつ)からぼたぼた、ぼたぼた。テレビでも放送していたけれど相当な豪雨だったはず。
私は急いでバスタオルを押しつけて、ギーマさんを家に上がらせた。ずっと自室にいて入らなかったリビングの明かりをつけて、すぐに暖房をつける。適当に座っててと指示すればギーマさんはソファーに腰掛けた。

「なんでわざわざ私の家に?」

「なんでって…もちろん君に会いにくる為だけど。その道中で降られちゃったんだよ」

「…そう、ですか」

「どうせ今日も部屋に引きこもりきりだと思って」

にっこりと笑って言うギーマさんを少し憎らしく思いながら、温かいコーヒーを手渡す。確かに私は引きこもり気味だ。だけどどうしてギーマさんはこんなに来てくれるんだろう。友達は少ないけど、外にもあまり出ないけど。

「君が好きだからだよ、って理由になる?」

「な、っ…!?」

自分の気持ちをすべて読みとられていたようで自分の分かりやすさを憎らしく思ったのは、間違いない。

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