「ロイヤルストレートフラッシュ」

相変わらずの笑みを崩さずにギーマの手からめくられる手札。
スペードのロイヤルストレートフラッシュ。確率は…何万分の1、くらいって聞いたような気がする。綺麗に並ぶ10、J、Q、K、A。私はぽつりと呟いた。

「…イカサマしてる?」

「まさか。」

ディーラーの人も青ざめた顔をして白目になっている。…そりゃそうか。ディーラーから絞り取られていくチップの山を見て私は同情した。この勝負師、血も涙もない。にんまりと笑みを浮かべるギーマはまさに悪魔だ。

儲けたチップをお金に換金すると札束が目の前に置かれた。危うく口にしていたカルーアミルク(ちなみにお酒の一種)を吹き出しそうになる。

「どんだけこの店から絞り取ってるのよ…」

「これで生活してるんだから仕方ないだろう?」

少し膨れ面でワインを少しずつ口にするギーマは私の横でお金を数えながら札束を二つに分けていた。私はただ単にギーマに誘われて来ているだけだから勝負しに来たわけではない。ギーマは相変わらず私の隣で少し難しそうに考え込んでから少なめの札束の山にお金を足していった。

「何してるのギーマ。貯金か何か?」

「ん、まぁいろいろとね」

それ以上は聞く事も出来なくて「ふーん」とか適当に返事して私はまた甘ったるいカルーアミルクを口にした。

(その翌日に私はギーマから指輪を受け取った。…うん、プロポーズ)

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