少しというかかなり風変りな格好を見間違える事はまずない。ただ関わりたいとは思わなかった。どんなに紳士であろうと、どんなにイケメンであろうと、何故かは自分にも分からないけど危険だと思っていた。 「…で、あなたは何でここに」 「少し尋ねたいことがあったんだ、君に」 「プライベートな事は絶対に答えない」 「そう言うと思ってたんだけどね」 にっこりと笑うその人は青かった。比喩とか例えではなくそりゃもう青かった。 いつもどおりにコーヒー飲みながら研究の為の参考書を読むという日課の最中、名前を知らないこの人が現れて私のいるこのテーブルに座ったのだ。青い人に不意に名前を呼ばれた。何で知っているのか分からないし、もちろん名乗った覚えもない。 「何で私の名前を知っているの」 「シロナさんから聞いたんだ、研究しているけどシロナさんに勝ったのだから実質上は君はチャンピオンだからね」 にこにこ、にこにこ。私はその笑ってる顔と私に注がれる視線が気に食わなくて集中する事が出来なかった。これはフェアじゃない。これじゃあ私はただの無知。それだけは許しがたかった。 「あなただけが私を知ってるのはフェアじゃないと思う」 「ああ、そうだね。私の名前はゲン。パートナーは隣にいるルカリオ」 「…知っていると思うけど、私はナマエ。パートナーはラグラージ」 よろしくと手を差し伸べてきたゲンさんの手を受け取るのか受け取らないのか戸惑った。 私の中の何かは既に警告していたはずなのに私はそれを完全に無視。もう今更引き返すのも面倒だったのだ。 言うなれば、これが始まりだったんだろうなんて少しでも思ったのも無視しよう。 |