「あーもう!悔しい悔しい!!」

ピィーッとまるで鳥ポケモンの子供が泣き叫ぶみたいにホームのベンチに体育座りしてナマエが泣きじゃくる原因はノボリ。また手加減もしないで生真面目に仕事したんだろうね。だからと言ってボクが相手をしたとしてもバトルするのは楽しいから手加減しないけど。何回も何回もノボリに負け続けてこれでとうとう二桁に達したみたい。

「クダリさんは何かノボリさんに勝つ必勝法とか教えてくれないんですかー…」

ぐすりと涙を零しながら鼻をすするナマエは出したままのエンブオーのほっぺを触りながらボクに問いかけてきた。なんて答えればいいのかな、「絶対に挑戦者に私の手持ちを明かさないでくださいまし!」ってキツく口止めされちゃってるし。いくらナマエのお願いでもちょっとダメかな。バレたらノボリに怒られちゃう。

「ごめんね、ノボリに教えちゃダメって言われてるんだ」

「そうですよねー…やっぱりノボリさん抜かりがない…!」

大きな溜息を吐いた彼女はティッシュを取り出して鼻をかむ。ぐずりながら立ち上がってティッシュを捨てるとまたベンチに腰掛けて悩み始めた。何か出来る事ないかなってポケットに手を入れると指先にぶつかる飴玉の感覚。僕はそれをぎゅっと握りしめてナマエの手にコトンと置いた。

「え、サイコソーダ味…?」

「ナマエが元気出してくれるように」

そう言うとナマエはすぐに包み紙を開けて飴玉をぱくりと口にした。勢いよく立ち上がった彼女はありがとう、と一言言って車両に乗り込んでいった。

(…ノボリばっかりずるい、ボクだって何回もナマエと戦いたいのに)

嫉妬してしまったのは気のせいじゃないって思った。

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