少しずつ、私はエスカバくんやバダップくん、ミストレくんと自然と共に行動するようになっていた。
私の不幸体質は相変わらずで、彼らに会うと何かしらのミスを犯してしまう。
この間はバダップくんの前で壁に激突。ミストレくんの前で盛大に転び、エスカバくんの前では破裂した水道管によってずぶ濡れになってしまった。

それでも何故か私の心はちょっとだけ温かくなった。
「バカだな」。その一言を私にかけて、少しだけ微笑みながら手を差し出してくれた。
どうしてなのかはよくわからない。純粋に、エスカバくんのその心遣いが嬉しかったのだと思う。

ぽつりと転がり出る言葉。止まることなく口から溢れるこの声はあまりにも小さく、微弱で、きっと彼の耳には届いていない。

「…エスカバくんが、うらやましいです」

彼は私にないものをどれもかしこも持っている。
喉から手が出るほど欲しいものも、一般的なものも持っていない私が少し惨めに感じた。
彼の事を羨ましく感じて、仕方がなくなってしまう。
少しでも近付く事ができたらと夢見ても、

「エスカバくんの背中は、遠くにあるんです」

そうして思い知るのは彼との決定的な違いがあるからでしょうか。

私は自分を誇れない。
誇ることなど、今の私にはできるわけがないのですから。


格差