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FFIが終わって、夏の過ぎ去った秋。受験を意識し始める頃になっていた。 私の夢は特になく、高校もこれと言って志望しているところもない。 本来ならば勉強に力を入れなくてはならないのだろうけど、自然とサッカー部に足を運んでいた。 夕日も大分沈んでしまった帰り道を豪炎寺と二人で歩いていく。 「豪炎寺は何処に行くつもり?それとも留学、とか」 「俺はきっと留学になるな」 留学。その一言でぐらりと心が揺らいだ。 もし留学してしまったら豪炎寺とは長い間会えなくなってしまう。 いずれ来ることだと理解していたつもりでも…呆気なく心は折れた。 「転校してきてよかった」 「…雷門に?」 「円堂達とサッカーができた事もそうだが…雷門に来なければお前に会えなかった」 豪炎寺の一言は、重い。 それは決して悪い意味ではなくて、豪炎寺の一言は私のすべてを揺るがすのだ。 「私も、…豪炎寺に会えて、よかった」 「名前。我儘を言ってもいいか?」 もしお前がよければ。そこで言葉が一度途切れる。 いつの間にか家へと向かう足は止まっていた。 「留学から帰ってきたその時は、…一緒についてきてくれないか」 「バカ、まだ早すぎるよ」 私は笑いながらそう言った。満更でもないけど。 答えは分かってるくせに聞く豪炎寺も結構意地悪だ。 「もちろん、豪炎寺の気持ちが揺るがずにいてくれたら」 ――― 豪炎寺に「転校してきてよかった」「一緒についてきてくれないか」と言われたい |