Please say to me


元々、幼い頃の彼はとても病弱でサッカーはおろか、長時間外に出ることさえままならなかった。
彼の体調は昔に比べて随分と良くなった。純粋に、とても嬉しかった。
私はずっと、茂人が好きだ。看病として長い間、彼と接してきて、大好きになった。
私より一回り大きい手、昔に比べて筋肉もついているような気がする。
茂人の両手が私の頬を包み込んだ。「何考えてるの?」そう言う声は優しいけど、少しむすくれた顔。

「昔の事。何だかんだで私もずっと茂人に付きっきりだったなぁって」

晴也も風介もよく一緒だったよね、と言えばそうだねと茂人が笑う。
そうしてからさらりと髪を撫でられる。茂人に撫でられるのが好きだ。
ずっと前、私が茂人の髪を撫でるのが好きだったように。

「病弱だった昔の自分に感謝だね」
「…その理由は?」
「名前を独占しきっきりなの、俺だったから」

嬉しいけど少し恥ずかしい。私も茂人といられたのがすごく嬉しい。
声にすることはできなくて何をしていいか分からなくて私は俯く。

「ねぇ、名前。…同じ道に進もう」

これからも長い間。そう付け足された言葉に私は首を横に振ろうなんて考えなかった。

―――
厚石に「病弱だった昔の自分に感謝だね」「同じ道に進もう」と言われたい


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