Please say to me


風介がいつもと違うと感じたのは多分ずっと一緒にいるからだろう。
大抵の変化だったら何となく感じられるようになってきた。
同じおひさま園で育ってきた私は、やっぱりまだ幼くて、理解できなくて。

「ふう、すけ…?」

擦り寄られるように抱きしめられて、胸に顔を埋められて、くすぐったい。
今日の風介は少し変だ。こんなふうに抱きしめられるなんて小学3年生以来じゃないか。
風介がその、思春期になったというか、私を意識し始めたというか。
(その時は女と認識してくれることを嬉しく思ったが少し寂しかった)

「名前…好きだ」
「っ、へ」
「ずっと、ずっと好きなんだ」
「風介、あの、」

ぎゅうっと強く抱きしめられて気付く。
私達はもう中学に入って2年も経っていた。風介が、逞しくなっていた。
私より細身だった体もしっかりとした筋肉をつけていてひ弱だなんて罵っていたあの頃が懐かしく感じるほどに。

「それは…ねぇ、友人としてなの、それとも、その」
「異性としてに決まっているだろう?ずっと伝えたかったんだ」

何度も何度も、風介の口から出てくる言葉。「好きだ」
心拍数が上昇して、心臓がばくばくと音を立てる。風介に聞こえてる、だろうか。

「私だって、風介が」

紡ぐ言葉が途切れた。

―――
涼野に「好きだ」と連呼されたい


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