Please say to me

お日さま園にずっといた。私も孤児。捨てられてしまった子だった。
親に捨てられた事を知ってから人と関わるのを極度に恐れるようになった。
だからいつも距離を置いて生きてきた。
それなのに、この真っ赤な髪の毛だけは離れなかった。

「……基山」
「ん、どうかした、名前?」

持っているクッションに顔を埋めながら、私は繋いだままの手を握る。
クスリと笑った声が少しだけ聞こえた後に私の手が握り返された。
単純だと思われるかもしれないが、それがたまらなく嬉しいのだ。

「名前は俺の事、ヒロトって呼ばないよね」
「それは、吉良ヒロトだから。…吉良と基山は違うから」
「本名なんてとうの昔に忘れちゃったのに。…ヒロトでいいんだよ」
「君がそれで、いいなら」

離れていかなかった人。誰よりも長い間、私を見ていてくれた人。
晴也も風介も、リュウジも、治も、ずっといてくれた。それでも一番長くいてくれたのはヒロトだから。

「これだけ一緒に居たらもしかしたらこれからも一緒なのかもしれないね」

私の髪を撫でながら、ヒロトが笑った。

「そうだったら、私は幸せ」

淡々とだけど、ありのままの気持ちを声にした。

―――
ヒロトに「これだけ一緒に居たらもしかしたらこれからも一緒なのかもしれないね」と言われたい


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