Please say to me

「っ、相変わらず逃げながらご飯食べるのも疲れるわ!!」

思わず叫んでしまってお弁当箱からたこさんウィンナーが宙に浮く。
落下してしまうと思ったそれは綺麗な弧を描いてぱくりと食べられた。
おーナイスキャッチ。思わず拍手をしてしまう。

「俺のせい、かな」
「あんたのせいよフィディオ!おかげで私がどんな目に遭ってると思ってるのよ!」

昼食の時間のチャイムが鳴って、隣のクラスからフィディオが顔出して、私の手を取って連れ出しての昼食。これがいつもでフィディオと昼食をともにしたいであろう女子から逃げ惑うのだ。

「…誰にも邪魔はさせないさ」
「は、邪魔って?」
「ああ、こっちの話。俺だけのせいじゃなくて名前のせいって言うのも一理あるんだけど」

私のせい?思い当たる節なんて何処にもない。いや待て、私は悪くないんじゃないか。
追いかけてくるのは全員女子。男子の姿なんてどこにも見当たらない。
何が悪いのかを考える為に思考を巡らせると耳に届いたのは足音。それも相当な集団の。

「一緒に逃げるか?」

今日に限ってそんな事を問いかけて手を伸ばしてくるフィディオ。
私は嫌な奴だと内心思いながらその手を取った。

「逃げるに決まってるでしょ!」

―――
「誰にも邪魔はさせないさ」「一緒に逃げるか?」と言われたい


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テーマ「人外ファンタジー」
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